「もしもし」で始まった。
鶴瓶さんからのチマキの依頼だ。

10月前半戦は大手プロダクションからチマキ1000個の注文があり「おお!」
対前年比を大きく上回り、新宿店絶好チョー!
それが10月後半は急ブレーキがかかる。
思うように売上が伸びない。
好事魔多しという文句はこういう時に使うのは適当じゃないだろうが、
「どうして?えっ?おっ?」
忙しい日も予約だけで終わる。フリーのお客様が来ない、というより歩いてない。
選挙のせい?
景気のせい?
わからない。でも10月も明日で終わりというこの時期に、こういう注文はありがたい。
鶴瓶さん、いつもいつもありがとうございます。

「キャロットタワーに明日や、持って行ってくれはるか」
「ありがとうございます。どなたに?」
「いけだとうまはんや」
「いけだ・と・う・ま様ですか?」
「違う、いげたや」
「えっ、いげた?」
「違うがな、いくたや」
もうこの辺になると、鶴瓶さんの声が尖ってきている。
「いくたですね」
「あんさん、知らんか?いくたとうまや!」
「スミマセン、テレビをあまり見ないんで・・」
「生田斗真を知らんの!」
なぜか私は自分の浮き世離れした(だろうと思う)姿に、笑いをこらえられなくなった。
聞こえたのだろう、私の笑い声に
「あんさん、笑てんの」
「スミマセン、スミマセン、堪えきれなくて」
「いくたのいくは生(なま)、たは田んぼの田(た)や」
はいっ。
『とうまのとうは北斗の斗(と)、まは真実の真や」
鶴瓶さんに最後まで言わせてもうた。
「はい、調べておきます」
時間と個数を効いた後
「ほんまに頼んまっせ」
図らずも鶴瓶さんとの漫才トークになった。

笑い声を押さえきれないアルバイトのお姉さんに聞いた。
「社長、今、旬の人ですよ」
絶句のあと、口をあんぐり。
側で10代のアルバイトが笑いをこらえていた。
そこには
「何がおかしいんだ!」
と怒れない私がいた。

夜遅く、ネットで「生田斗真」を検索。画像を表示。
「なんだ、俺の若い時にそっくりじゃん・・・・」