2022年 6月 の投稿一覧

座り呑み

歓ファンが、一部屋を倉庫として借りていた木造家屋が壊され露天駐車場に変わった。そこへキッチンカーが日替わりで出店する様になった。
台湾料理、タコ焼き、ラーメン、かき氷、、、、、いろいろなキッチンカーが出展する。賑やかになった。夜も遅くまで営業している。雨天はともかく簡易なイステーブルも置いてあったりするから、ここで飲み食いするお客もいる。
お客がより安い様に目立つのぼりも立てている。
見た目は間違いなく”にぎやか”にはなった。

しかしこの新宿六丁目は、三丁目界隈とは違い住宅街の様相を色濃く残しており、人通りは少ない。この地で18年営業を続けていても厳しい日々は続く。
コロナ禍が押し寄せ、それが今年になり収束するかと思えたが、客足の戻りは鈍い。そこへ食材の値上げが怒濤の様に押し寄せる。

一回目の値上げをした。概ね50円~100円。「1回目」と言ったのは、たぶん9月か10月にもう一度価格を引き上げる可能性があるからだ。原材料の値上げはまだまだ続く。
当然ながらお客様の懐も厳しくなるし、最初に控えるのが「外食」になる可能性は非常に高い。
諸処の世情を鑑みると止むなしとも思うし、一飲食店が抗えることでもない。だから引き続き外食産業にとって厳しい日々が続く。どんなに早くても今年中は無理だと想像する。

キッチンカーが停車している駐車場の前に、路地をはさんでセブンイレブンがある。セブンイレブンにコーヒーを買いに行った。夜の8時ころだったろうか。
路地に数名が座り込んで呑んでいる。出で立ちは白いワイシャツを着ており、どうみても会社勤めのサラリーマンだ。

私にとって、ちょっとした衝撃だった。
昭和40~50年代ころには日本のあちこちで目にした風景だったが、ついぞ最近見たことがなかった。今は2,000円~3,000円で呑める安い居酒屋はあちこちにある。そういう居酒屋を避け、座り込んで「道路呑み」をしている。

いろいろな事情があると思うが、人目をはばからず「道路呑み」をしている。飲み物が足りなくなれば、その都度セブンイレブンに買いに行っている。
繰り返し言うが、目の前にキッチンカーがあって、イステーブルも用意してあるのだ。セブンイレブンで買う飲み物に比べれば、多少高いかも知れない。でもでも、それでも道路呑みをするか?

彼らに確かめたわけではないのだが、なぜ「道路呑み」をしているのか想像してみた。
すぐに思いついたのが、「小遣いを減らされた・・・」だった。
それぞれに帰る家があって、そこには家族が居て・・・。彼らの風体はそれを感じさせるほどこぎれいなのだ。

折しも参議院選挙の告示が出、候補者全員の名前が新聞に掲載された。
一部の金持ちはともかく、貧乏になってきた日本や日本人のことを熱く語る候補者は少ない。

連休

歓ファンは6月12日(日曜)~19日(日曜)までの8日間お休みする。

コロナ禍で歓は協力金の他、数種類の助成金を獲得した。
事業再構築助成金、感染拡大防止助成金、飲食店強化支援助成金・・・。

コロナ禍は収束段階に来ているが、客足はどうにもこうにも戻ってきていない。
飲食店を取り巻く現状から回復に向けて、まずネット系がお店にアプローチを掛けてきている。
ぐるなび、食べログ、ホットペッパー、リティ・・・・。
Googleマップもマップ上の宣伝を持ちかけてくる。成果報酬型の集客アプリも、電話、ファクス、メールと、これでもかこれでもかと攻勢を掛けてくる。

が、一切お断り。
集客の目処がついているわけではない。
ただ今動いても空振りに終わるだけと感じている。まだ今はジーッと耐えている時期だと判断しているからだ。
ただ無為に辛抱してるわけではなく、上記の助成金を利用して設備に投資し、やがて戻ってくるお客様のために対処しようと考えているからだ。


3月に「感染拡大防止助成金」で抗菌仕様の床を貼り替え、トイレを全部ウォシュレットに変更、ついでにギシギシと音を鳴らしていたトイレの床も作り直した。厨房の換気能力も強力にした。

で、 今回のは「飲食店強化支援助成金」
厨房を改装する。
厨房床に防水加工を施し、業務用コールドテーブル、業務用冷凍庫を新設。
ドリンクカウンターと厨房の間の壁に大きく穴を開け、半オープンカウンターとする。目的は厨房の動線を確保し、三人オペレーションを二人オペレーションに。

助成金はこちら側の30%~20%の負担がかかる。だが残りの70%~80%の資金は返さなくて済む資金だ。
コロナ禍故の助成金だ。この時期でないと出ない、コロナ終息とともにいずれ消滅する助成金だ。
どのみちお店はヒマだ。そのヒマを利用して様々な助成金、補助金、支援金にチャレンジした。申請した助成金のほぼ8割獲得した。

獲得した資金は、いずれお客様が戻ってきた時のための設備投資にあてる。

これだけ頑張っていても、1年後にこの店が残っているかどうかは正直不明だ。
今やれることを、今だからやれることを、粛々と進める。
人事を尽くして天命を待つ。
(な~に、オレは運が強いんだ!)
と、あらためて自分に言いかける。

ということで歓ファンは8日間連休します。
6月20日から正常営業です。

パイオニア

家内と一緒に歩く。
新宿の雑踏を歩く。
街に活気が少しずつ戻ってきた。
良いことだ。もっと活気づくピッチを上げて欲しい。

歩く時にひとつの癖が出来た。
雑踏の中でノーマスクの人を見つけて数えることだ。
屋外ではマスク着用はやめていい、と政府も伝えている。
しかしノーマスクは50名に一人、いや100名に一人くらいだろうか。

「ねぇ、マスクしてよ!」
と、一緒に歩く妻が私に懇願する。
「やだ。」
即答する。
「誰かが率先してノーマスクしないと、いつまでたってもマスク姿は減らない。」
と、理由をつたえる。
「このへそ曲がり!」
と妻が怒る。

いつだってパイオニアの道はイバラの道なのだ。