都税事務所と法務局

法人の印鑑証明が必要になり、北新宿にある法務局に行く。
法務局までの途中にある都税事務所にも寄った。

都税事務所の一階にある飲料の自動販売機に目が行く。
ほとんどのドリンクが70円と書いてある。
(えっ?)
どこの自販機でも100円を下回る機械は見たことがない。
ドリンクの種類にもよるが、概ね130円~160円くらいだ。
路地裏の、立地の悪い場所ですら「100円」と、いかにもここで買ったら
「お得だよ!」
とアピールしているところもある。が、さすがに70円はない。
たぶんこれは原価だと思う。そして利用者は都税事務所の職員だ。
(なんだかな・・・)
自分たちだけの損得しか考えないことに、違和感を感じてしまう。
家賃や人件費を出すために、利益を出すこと、経費を削減すること、将来に対しての投資、社員に対しての投資、トータルで考えて予算配分を考える。
経営者はいかに収入を増やし、いかに経費を落としていくか、少しでも利益を確保し、コロナ禍を含め予測不可能な事態への対応も視野に入れて備える。
都税事務所はそれなり考えてのことだと思うし、良いとも悪いとも言わないが、”緩い”と感じる。

たいした用事でもなかった都税事務所を後にして、法務局に着いた。
二階の階段上がり口にある機械式の窓口で法人カードを入れて整理券を出す。
整理券を持って次の窓口に行く。ここで整理券に書かれた金額の収入印紙を買う。この日は印鑑証明1通で450円。
切手サイズの収入印紙2枚を持って、整理券番号での順番待ち。
コロナ禍で、窓口には透明のビニールシートがかけてあり、シート下から印鑑証明書や法人履歴事項証明書などを依頼者がもらう。

印鑑が廃止される方向で政府方針は舵を切った。
歓迎する。
いつも思うのだが、この証明書発行にかかる時間と経費(主に収入印紙)は無駄と感じる。何より一段と高い場所にいて、なかの職員が居丈高に振る舞う姿勢に抵抗を感じる。
不動産取引など高額の収入印紙税だってある。少額でも数が増えれば馬鹿にならない。そのくらいいつも法務局の窓口が混み合う。
商売人のくせで、自分のお店に例えて、
(このくらいのお客様が来ると良いな。)
(競争がなくて、独占販売で羨ましいな。)
と思う。
横長に広がる受付カウンターの前に待合室に置いてあるようなベンチがいくつもあり、そこに申請者が並び座る。その人たちは窓口に立つ人たちが発する整理券番号をおとなしく待つ。
窓口にいる数名の職員は、待たせることは当たり前のように、マイペースで読み上げ、受け取りに来た申請者に収入印紙を貼らせ、 発行された証明書を渡す。
私に言わせれば、(職員の)あなたたちは、収入印紙や税金で生計を得ているのだろう、いわばあなたたちにとって私たちはお客様じゃないか。
「こんにちは」
「ありがとうございます」
くらいの挨拶があっても良いんじゃないの。
無言で証明書を渡す女性職員の姿勢は、なぜか威圧的に感じてしまう。

もう少し、相手に寄り添う気持ちが欲しいなと、行く度に感じてしまう。
印鑑ハンコを廃止にする流れ、大いにけっこう。
でもあなたたちの仕事はなくなるんだよね。他の部署(役所)に移されるのかもしれないし、法務局が別な機関に変更されるのかもしれないのだろうけど、自分の身はいつまでたっても安泰と思っているんだろうね。
ここでも”緩い”をついつい感じてしまう。