7月1日は私たち夫婦の結婚記念日。
後楽園店で勤務する妻が、
「明日は5時で帰れるよ」
「あ、そう」
言われてから、明日が結婚記念日だったことに気がつく。
まだ若い頃、妻が私に
「結婚記念日、なんかプレゼントあるの?」
「馬鹿言ってるんじゃないよ。二人の記念日だろ?一方的なプレゼントってあるかよ。」
と言った手前、二人の何かの日になってしまった。
昨年は歌舞伎町入り口にある「鉄板べービー」という広島お好み焼きを食べに行った。
この店はお客様からフレーズをいただいて、即興劇に仕立てるという面白さを売りにしているお店だ。
マスターに
「明日、結婚記念日なんだ」
「あ、そうなんですか。奥様になんかメッセージがありますか?」
久し振りにラブレターを書いた。それをマスターにメールで送る。
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「37回目の結婚記念日。いつまでもこの記念日を続けたい。いつまでも続けられるよう、ただただ元気でいてくれ。金銭的にも時間的にも余裕がないだろうけど、時々身体を休めたり検査を受けたりしてくれ。昔みたいにガンガン引っ張っていく力は、だいぶ少なくなってきた。引っ張っていくんじゃなくて、一緒に歩く歳になってきたみたいだ。俺の夢だけを見させてきたけど、二人の夢にしていきたい。これからもよろしく。」
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当日、スタッフ三人で結婚記念日に合わせた即興劇を見せてくれた。
良くもここまで仕上げてくれた、唸らせるほど上手に仕立ててくれた。
気がつけば、隣に座っている妻が即興劇に笑いながらも顔をクシャクシャにして泣いている。
良かった、この店に頼んで。
一年後の7月1日にまた妻と訪れた。
今回は何のサプライズもお願いしなかったが、私たちの中で記念日に訪れたくなるお店になったのだ。
歌舞伎町、広島お好み焼き「鉄板べービー」
それでいてとてもリーズナブルなお店だ。