事業承継

コロナ禍で否応なく事業承継を考えざる得ない。
お店を助ける、ひとつの方法でもあるからだ。
ホールで働く72歳の女性がいる。気働きができ、私が最も信頼できる女性だ。この人がいるから、私が外で動ける。そして何よりお店のことを芯から心配してくれる人だ。
だが、年齢的に後継者には難しい。となると後継者は現在一人しかいない。
50歳の調理長だ。
一度だけ事業承継のことを話した。
継承時点で調理長が負担する金銭的部分はない。彼にとっては”おいしい話し”のはずだ。さすがに彼は即答はできなかった。

機会があればこれからも話していこうと思う。ただしコロナ禍で、時間が非常に限られてきている。間に合うかどうか・・・・・。

歓ファンの隣にイタリアンがある。元々アゼルバイジャン料理店だったところを居ぬきで買い取った会社があり、その店長を務めていた。一定の年数がたったら彼のお店になる契約だと語ってくれた。サブリースで運営したものを、後々フランチャイズに移行していくシステムのようだ。

今回のコロナ禍、このイタリアンにも大きな欠損を出している。飲食店全部に言えることなのだが、この店長(現在はオーナー)もメンタル的に弱っている。
が、彼はまだ借金していない。その借金を私は彼に薦めた。
彼は逡巡している。

ある意味、調理長とこのイタリアンの若きオーナーは似通っている部分がある。
経営者の資質の重要な部分だ。
一言でいうと『勇気』だ。一歩踏み出す勇気だ。
どんなに才能が有っても、この『勇気』がないと一生人に使われることになる。
勇気のないことが駄目ということではない。
リーダーに必要な資質の大きな要素に「勇気」が必要だということだ。
リーダーにならなければ、例えば参謀だったり番頭さんの役割が性格的に会う方もいるし、この方たちに「勇気」はさほど重要なファクトではないし、むしろ「冷静さ」「慎重さ」が必要だったりする。だから勇気がないことを攻める気持ちは毛頭ない。
でもリーダーには「勇気」は必須だ。

残念ながら、イタリアンオーナーも調理長も今は、この勇気が振り絞れないようだ。今が勇気を絞り出す時ではないのかもしれない。生きている間には、こういうチャンスが少なくとも3回は巡ってくると私は思っている。
残念ながら事業承継を考えるこの時期ではなかったのかもしれない。
引き続き、事業継承を薦めてはみるが。