虎ノ門横丁の赤坂離宮

虎ノ門ヒルズ3Fに虎ノ門横丁なる飲食街がある。
虎ノ門ヒルズが完成してからの横丁だけにまだホヤホヤの商業施設だ。
コロナの影響で人出が少ない中、このフロアだけは大勢の人で混み合っていた。
1Fのエントランスなどは人がまばらであり、3階まで吹き抜け状態のなか、エスカレーターを利用する人もまばらだったが、3階に上がると熱気ムンムン。
何、この盛り上がり方は!

今年一月で閉店した後楽園店や新宿の店を思いやると、この集客力は悔しいやら羨ましいやら。
その一角に赤坂離宮が手がけたという「香港焼味酒家」がある。
ある方に連れられてこの店を覗く。横丁というコンセプトだけに赤坂離宮のような構え方はしていない。こじゃれた居酒屋風であり、ソーシャルディスタンスもここは関係なかった。

その一つの狭いテーブルについて、おすすめを含めて5品ほど料理を頼む。
ホールでキビキビ動き回っている方は原宿の南国酒家でマネージャーを務めていた方で、私もご挨拶したことがある。
この方のおすすめがエビワンタン麺だった。
お店が一押しで薦めていたのが、いわゆる焼きたてのチャーシューだったので、
(あれ?)
と思った。そして麺を食べると、お酒も料理も進まなくなるためにワンタンだけにして貰った。
このワンタンが絶品。
皮の中にエビがまるごと入っている。ゴロゴロしたエビの食感とスープが絶妙。
この後、8時過ぎから予定のあった私、このエビワンタンをスープ付きでお土産にして貰った。

帰りのタクシーの中、スープがあふれないよう気を遣いながら、新宿に到着。

お店に帰るとすぐにこのワンタンを歓ファンの調理長に食させる。
8時からの会合に出るために、食した調理長の顔は見ていない。
だが、次の日からワンタンが変わった。エビのゴロゴロ感が出てきた。
(ふーん、こんなにすぐに料理に反映できるのだったら、普段からいろいろなお店に行って試食しまくれば良いのに・・・。)
(でも、まあ、小さな一歩と認めようかね。)

金を使い、食べてみせ、美味しさを教え、やる気にさせ、作ったところで褒めて見せ、それでも人は育たず。育った頃には飛び立つ時になり、お店を離れることも。
いくつもの無駄の重ねる徒労感。それでも、人を育てることを忘れてはお店(会社)が育たず。辛抱辛抱。

いつか感謝されるときが来るのかね?
社長業ってのはこんなもの。疲れるよ。