いつもの半分以下。ランチの来客数のことだ。
ため息が出る。
いつも焼きそばを食べに来る女性のお客様、食事を終えてレジに。
「会社から外に出るなって言われているんです。」
「だから出にくくて・・・」
それでも来てくれるお客様に感謝なのだが、ありがとう以外の返す言葉が見つからない。本当なら
「また来てください。」
と言いたいのだが。
一呼吸置いて
「ありがとうございます。」
と伝える。彼女が出て行ってから、またため息がついて出る。
伊勢丹勤務の男性社員が一人でランチ。
この方も
「二人以上で食事に行くな、って上司が直接言いに来るんです。」
「だからスミマセン、なかなか来られなくて。」
そういうなか、わざわざ食事に来られる。感謝以外の何物でもないのだが、
また、ため息が出る。
ゴールデン街で一人きり盛りするママさん、テイクアウトで焼きそばのご注文。
「お店、1ヶ月休みます。」
「給付金の申請準備にかかります。」
と言う。
ゴールデン街の店舗はどこも非常に小さい。
10坪未満で一人で切り盛りできる店舗ばかりだ。
時短営業協力金、1日6万円出れば一ヶ月で180万円が支給される勘定だ。
いっぽう社員を三名使う私のお店も180万円(推定)。
夜八時までだと、夜のお客様はまず来ない。
ましてこれだけ飲食店がターゲットにされれば、間違いなく客足は遠のく。
正直休みたい。光熱費も人件費も安くて済む。
仮に休んだとしても、一日じゅう、そして一ヶ月間、家の中に籠もっていられるか、というとそれも難しい。
仕事も地獄、休むも地獄。
考えるだに、またため息が出てくる。