島耕作

昨日、木曜日発売の講談社「週刊モーニング」
そこに掲載されている弘兼憲史の漫画。
課長島耕作から続く長編連載の「島耕作シリーズ」だ。部長、社長、会長を経て、現在の肩書きは「相談役」になっている。
なかなか面白い。
その島耕作がコロナに感染した。
味覚がなくなり、PCR検査を受け、隔離生活が始まるまでの経過が漫画となって今週号に掲載されている。
なるほどね、感染したらこういうふうになるのか、と漫画ながらけっこう参考になる。

人間の五感の一つと言われる「味覚」
料理を提供する私のなかで一番必要とされるのがこの味覚。
私のアイデンティティーでもある
前勤務先を辞め、今の歓ファンをオープンさせるまでにほぼ3年ほどのブランクがあった。
前勤務先の経営者が変わり、当時私が心酔していた上司と一緒に退社したためだった。退社後は独立自立を目指した。が、資金はゼロ。そして年齢49歳。

安定した収入がたたれ、不定期なアルバイトに明け暮れた期間だ。
収入は三分の一ほどに減った。
息子が三人いて、当時中学、高校生とこれからお金がかかる、我が家の歴史の中でもたいへんな時期だった。

ワガママだった私、こういう時期でも妻に宣言した。
「1ヶ月に一回は美味いもん食べに行く。1万円使う。覚悟して置いてくれ。」
目を大きく開けて
「・・・・!」
声が出ないくらいビックリした。
「美味いもん食べに行く。」
「美味いもんが分からなくなったら、俺が俺でなくる!」

家族4人は茨城県石岡市にいて、私は東京で勤務という単身赴任生活が18年に及んでいた。妻の苦労もわかっているつもりだったが、新店舗出店という目標達成のために、私の中で譲れない「一線」だった。
そうして自分を追い詰め、目標に突き進む「何か」が必要だった。
今思い出しても、(よくやった!)と思う。

そこまでして大切に守ったのが、自分の味覚だった。
コロナ禍の密集密接の代名詞として「飲食店」が毎日のようにやり玉にあがる。
やるせない。やりようもない。
コロナは私から元気をどんどん奪い取る。
これで私の最低限のアイデンティティーである味覚がなくなったら・・・。
考えたくもない。

たぶんこのままコロナは終息に向かうと思う。
さあ、次の戦い・・私の年齢だとたぶん最後の戦いが待つ。
そのためにも「美味いもん」食べに行くぞ。
あ、忘れてた。緊急事態宣言でほとんどのお店、8時で閉店だ・・・。