ネットニュースを見ていた。
限界ニュータウンという記事。千葉県や東京郊外でも限界ニュータウンという分譲のままで売れ残っていると画像付きで組んである。
私は男だけの三人兄弟で生まれ育った。
その兄弟も長男の私を筆頭に69、67、65歳と高齢化してきた。
兄弟は割と仲が良い。それぞれが近くに住んでいないというのも理由の一つだろうが、嫁同士も折り合いは悪くない(と思う。)
仲が良い一番の理由は、全員が貧乏だからだ。
争いの元になる財産らしきものが兄弟揃ってないのだ。
その最たるものは、兄弟全員が誰一人家を持たない。
若い時には家を欲したこともあったが、調理職人という職業柄、一つの地域に留まることは少なかった。現に私は、職場は東京新宿で、家族は茨城県石岡市にという単身赴任生活を18年間過ごした。
一つ所に定着するという気持ちが希薄だったのだ。
でも、妻は違ったろう、と私と出会いいっしょになった妻のことを少し不憫に思う。
で、くだんの記事。お店のなかで読んでいた。
どのくらいで買えると、お金もないのに胸算用。
この歳じゃ、銀行だってお金貸してくれることもないだろうし・・・。
「おはようございます。」
肉屋が来た。魚介専門の業者も来た。
(お、もうそんな時間か・・・)
時間を確認すべく、スマホを探した。
ない。ない。・・・・ない。
(えっ、どこに置いたっけ?)
掃除をした店内、レジ周り、と探した。
(あ、手に持っていた・・・)
スマホを片手に、そのスマホを探している自分がそこにいた。
家を持てなかった理由が少し分かった。