[フカヒレ姿煮]の姿が見えない

厨房に入っていると、とにかくデスクワークがやりにくい。
油まみれ、水まみれのなかにパソコンはさすがに持ち込めない。
料理を考え試行錯誤する際も、取りあえずのメモは鉛筆かボールペンに紙に頼る。これが一番安全確実なのだ。
そして厨房とホールの境目に、まるで関所のように大きな板がかかっている。
料理を並べたり出したりする時、お客様が帰った後の下げものの置き場とけっこう働き者の「板」なのだが、厨房への上がり口が30センチほどの高さで2段になっているために、人は屈んで出入りする。身体が柔らい若い時はともかく凝り固まった老体にはかなりきつい。簡単に出たり入ったりできないのだ。

食材が毎週のように値上がりする。小幅でもこう頻繁に値上がりすると馬鹿にならない。原価率維持は非常に苦労する。
で、メニューを少しいじりたいのだ。新メニューもある。だが、食材を揃え、料理を作り、作った料理の写真を撮り、そのメニューの構成を考えたり、試し印刷をかけたりと、厨房への出たり入ったリが非常に億劫なのだ。
ネットへの変更処置もある。こういう作業のできるのは私しかいない。

そういう作業を予想しただけで気持ちはネガティブになる。という言い分けでお店のホームページもメニューもコロナ前から何も変わっていない。
コロナ前のコース料理は4000円でフカヒレ姿煮がついていた。食材高騰の折4000円や5000円での姿煮はもはや不可能!

でも、でも、そういう事を知らないお客様から問い合わせは何度も来る。その都度ホールの担当者は苦しい言い分けをお客様に伝える。

どうにかならないものか・・・・・・。
雨のない梅雨空だが、うっとうしい日々は続く。