一人のお客様が来た。来るなり
「忘れ物した。タクシーに。」
何を忘れたの?
「かばん。」
中は?
「財布と携帯と・・・」
タクシーは何という会社
「いや・・?小さな車だったけど・・」
会社名はわからないの?
領収書は?
「ない。」
近代化センターに連絡してみるね。
あ、5時過ぎはダメだ。それにネット上では、まずタクシー会社へ電話するように誘導されている。それ以降は警察にと。
・・・・・
・・・・・
とりあえず交番に行ってみる。お客様は一人で交番へテクテクと向かった。
懇意のお客様だったので、店のおばさんがお客様の携帯に何度か電話。
タクシーの運転手が気がついたようで、戻ってきて近所のコンビニでお客様の携帯に反応した。
携帯を持ってエプロン姿のおばさんに気がつき、そこで合体。鞄が渡る。
お店に鞄を持って帰り、私に鞄を預け
「社長、交番に行ってきます。鞄を見ててください。」
・・・・
・・・・
おばさんと、ホッとした顔で戻ってきたお客様。
善意と善意が交錯する日本。
平和だね。
私の心の中でボソボソと独り言
(でもさ、例えタクシーでもさ、例えお客様だったとしてもさ、漫然と乗るなよ。ちょっとでも話ししなよ。面白い話し聞けるかも知れないし、営業用の車には必ず運転手の名前提示してあるんだから、その名前で、
「○○さん、最近忙しい?」
って声かけりゃ、ビックリするし、ビックリした顔だって面白いし、楽しくなるし、お互い興味が湧けば、ふつう聞けない話だって、話してくれるし、乗ってる時間も短くなるよ。漫然は良くないよ。あなたも若くないんだから、残されてる時間は長くないよ、もっと大切に使おうよ・・・・。)
きっとタクシー会社だって記憶に残るから。
それと、後で捨てたって良いから、領収書やレシートは貰う癖も作ろうよ。