大玉スイカ

今年もスイカが来た。
大玉のスイカ2個だ。

ほぼ1ヶ月に一回鶴瓶さんから依頼されてチマキを配達した先があった。
毎回30個ほどで、鶴瓶さんからの依頼では少ない個数の部類だった。
配達先は東京タワー近く、ビルの8階だった。
発泡スチロールに入れて持って行くのだが、毎回初老の男性がいた。

「チマキをお持ちいたしました。鶴瓶師匠からの差入れです。」
「あ、ご苦労様。そこへ置いていってください。」
毎回、だいたいこういう会話を続けてチマキを置いていった。

そんな繰り返しがあった数ヶ月後。
その初老の男性が
「あなたに私の名刺を渡しときましょう。」
「ありがとうございます。」
何度も顔を合わせて旧知の間柄になっていた様な感を抱いていたのだが、あらためての挨拶だった。
渡された名刺には
「バーニングプロ」併記して「福家書店」社長と肩書きがあった。
芸能界音痴の私はバーニングプロの存在を知らなかったが、本好きの私は福家書店社長の肩書きを見て嬉しくなり
「ありがとうございます。」
名刺を押し頂いた。

帰りエレベーターの中で、
あ・・自分の名刺渡さなかった・・・
1階まで行ったエレベーターのスイッチを再度押し、初老の男性の元へ帰って行った。
「申し遅れました。こういう者です。」
名刺を渡した。
と、その初老の男性、私がわざわざ名刺を取りに戻ったと勘違いされた様で
「わざわざ持ってきてくださったんですか。」
近くにあった、この方への贈答品の菓子折をふたつ、私に持たせた。
「えっ?あ、ありがとうございます。」

店舗へ帰ってから従業員に今日の顛末を話す機会があった。
その従業員があきれた顔をして
「社長、バーニングプロって芸能界の大手プロダクションでそこの社長と言ったら芸能界のドンと呼ばれている人ですよ!」
あ、そう・・・

だが、この名刺交換の効果は絶大だった。
大河ドラマの発表会にチマキ1,000個。
昨年は残念ながらコロナ禍でチマキ受注はならなかったが、 紅白歌合戦にいたっては2年連続2,000個ずつの受注をいただいた。

そして
毎年、お中元の時期になるとこの方からスイカが届けられる。
大きくて甘いスイカだ。
このスイカが届くと、今年の紅白もチマキの注文が・・
捕らぬ狸の胸算用を・・・・早すぎるか。