コロナの爪痕

知人がランチにやってきた。
推定70代半ば位の方で、.クリーニング店を8店舗経営されている方だ。
「久しぶりですねぇ。お元気でしたか?」
「入院してたんだよ。弁膜症で。」
「心臓ですか?」
「半年、病院から抜け出せなかった。疲れたね。」

経営者がいなくても稼働する会社だったので、ゆっくりできたのかな、と会社のことも聞いてみた。そしてコロナ禍など影響を受けない職種だと思っていた。
リモートワークなどサラリーマンが出社しないために軽いシャツものの需要が激減したそうだ。
話しを聞いて納得した。

さらに話しは続き、後継者問題に移った。
「息子さんとか、後を継ぐ方いらっしゃらないんですか?」
「いないよ。」
ポツッと一言。
「今クリーニングの全8店舗の買い主を探しているんだよ。一店舗500万円として、全部で4000万円。」
「見つかりそうですか?」
「いないねぇ。」

私よりも高齢だが、悩みの本質は私も同じだ。
新聞はコロナでも景気が上がって企業のことも紹介しているが、少なくともこの近隣の、そして小さな企業に、好況の話しはない。
身につまされる。

14時近くになり、ランチ数はまだ20名に達しない。コロナ前の三分の一以下だ。
蔓延防止期間は延長になりそうだし、梅雨の湿った空気があたりをさらに重たくさせている。