遠方より友来たる

台風、雨、コロナ、土曜日、緊急事態、いろいろ重なって、お客様はほぼ絶望的。
それでも従業員は働いている。
近所のお店を見て回るが、やはり閑散としている。
今日はあきらめか・・・・・。
いや、訂正。今日もあきらめか・・・・・・。

電話がかかってきた。
歌舞伎町からいつも来ていただいているお客様から。
「もらい物があるんだけど、バイクでちょっと来てくれないか。」
独り者の、その方、知人からいろいろもらい物をするらしいのだが、独り者ゆえに消化しきれないそう。
ワイン、ジャガイモ、牛肉、はてはマスクまで・・・。種類が様々で何だか「ふるさと納税品」みたい。
ありがたくいただく。
いただいたマスクは、たぶんあと一年コロナが続いても底つかない。

さらにランチタイムが終わろうとするさなかに、荒々しくドアを開けて大男が入ってきた。大きなボール箱を抱えている。
「いやー、久しぶりに東京へ来たよ。」
「これ食べてよ、今日もぎたての梨だよ。」
茨城の千代田町から車でかけつけてくれた。
でっかい梨だ。

「来たいのだけど、コロナで来れないんだよ。ご無沙汰!」
「いやぁ、筋肉が落ちちゃってねぇ。」
と言いながら屈伸運動をする。
「こうやって動かさないと、足つっちゃってねぇ。」
普段から豪放磊落な方なのだが、こちらがついついホッコリとさせられる。

コロナでお客様が来なくて私も従業員も時間を持て余す。
お客様が来るのが何よりの力になるのだが、こちらとしてはもう打つ手がない。
そんな中での「差入れ」
感激する。相手の気持ちがこちらにしっくりと伝わってくる。

たぶん今月末で緊急事態宣言は終わるだろう。
もう少しだけ頑張ってみるかね・・・。

あ・・・お客様が来た。
閉店まであと一時間という時間帯に若い二人のお客様。
初めてのお客様だ。
友がお客様を呼び寄せてくれた。