5時を回ってる!

スマホにアナログ表示されている時計は夕方の5時半ころを指している。
ランチが終わって、お店から100mほどの距離にある自宅へ帰り、しばしの休息を取っていた。そしていつの間にか寝ていたらしい。

(やばっ、お店に出かけなきゃ!)
ん?
枕元に置いてはずのシャツがない。脱いだ靴下も見あたらない。
テレビが置いてあり、妻がいるはずの部屋に行く。
寝ていた。
「まだ寝てんのかぁ!」

起き上がってからの私の行動は早い。風呂場近くの洗い物を投げ入れるカゴから取り出しシャツを着る。
(ん?何でおれはまた着るはずのシャツを洗い物カゴにいれたんだっけ?)
小さな疑問が湧くも、店に行く時間にせかされて、疑問を頭の隅にしまう。

釣り銭や書類、印鑑類をしまってあるバッグを肩からかけ、玄関に。
(ん?休息を取りに帰ったのに、なんでバッグを持って帰ったっけ?)
またまた小さな疑問を頭の隅に押し込む。

靴を履きながら、階段に向かいながら、階段を降りながら、今日のディナーの予約を思い出そうとした。
(ん?そもそも予約があったっけ?)
夜の予約は予約帳を見ながら朝一番で確認する。
その確認する場面を思い出さない。
出勤は私が一番早い。朝一番で全てのガスレンジに着火し、スープを湧かし、お茶を沸かし、表のゴミ箱を厨房に運び、と数多の準備をするのだが、その日の記憶が出てこない。

お店に着くまでのほぼ100メートル間、懸命に思い出そうとする。
どうしても思い出さない。

いっしょにランチで働く女性がいる。ランチにいらっしゃるお客様には懇意にしている方も少なからずいる。
その相棒の女性やお客様との言葉のキャッチボールがひとつも出てこない。

(えっ、おれって、ボケてきたぁ?)
(記憶障害?)
(それってもしかして前日の飲み過ぎ?)
(いやいや、確か5杯しか飲んでないッし・・・・)
ありとあらゆる可能性を頭の中で探す。
陽は差てないが、夕暮れでぼやっとした陽気で、蒸し暑く・・・・。
ん?ん?ん?

そこでハタッとひとつの可能性に気がついた。
もしかして、今、朝の5時半!

店の前に来て、バイクが閉店後の定位置に止めてあるのを見て
(ああ!、今って、やっぱり朝の5時半だ。)
ドアに鍵がかかっているのをみて、朝刊がポストにあるのを見て、朝の5時半だと確認できた。
寝ぼけてたけど、ボケちゃいなかっった。
ホッとすると同時に、妻から電話がかかってきた。

劇オコで

何なのよ!
朝っぱら早くから人を起こして、「まだ寝てんのか!」ってどういう意味?