気がつけば高齢店になっていた

急に忙しくなってきた。
ここ一週間ほどのことだ。
10月前半は昼夜ともにヒマな日が続いていた。
前年よりも売上は伸びている。が、前年はコロナの最悪の年であり参考比較するような年ではない。
今年の5月以降協力金も支給なくなり、それまでにプールしていた資金で賄わなければならない状態が続いていた。資金はみるみる間に枯渇していく。

廃業が視野の片隅に入る。
生き延びるために、新製品の開発をすすめる。
私の性格が元来素直でないためか、普通のお店がおこなった、例えば従業員の解雇、価格の引き下げ、店舗の休業などの処置は取らなかった。
その分苦しさが増えた。追い詰められていくのをヒシヒシと感じる。

新製品にかかる費用も含めて、融資を申し込んだ。
ふだんだったら融資は厳しいのだが、コロナ特別枠があり、これを頼った。
申込金額は1,000万円。結果は減額されて300万円。
普通の年だったらこの金額で問題ない。それなりに手を打てた。が、これだけ売上が落ち込み、回復見込みも数年先という状況下での300万円は店舗の敗戦処理にかかる費用としか思えない。
300万円という額は延命処置にはなっても、回復処理にはほど遠い金額なのだ。

最悪を覚悟した。
が、100%諦めたわけではなかった。
この情況下でも会社の助かる道を探す。
新製品はほぼできあがっていた。
ここからどう販売していくか、どう採算ベースに乗せるか、その時間と資金はどのくらい残っているのかを計算しつつ、今やれることを探す。
この気持ちが私にある間は、従業員もついてくる。
私が諦めるわけには行かないのだ。

そんな毎日を送っているなか、今週に入り、急に忙しい日々が増えた。
一桁台の売上が二桁になった。
お、お、お、と私も店内を駆け回って仕事する羽目(?)になる。

(もしかすると急浮上か!)
と淡い期待が膨らんでくる。
・・・・・
満席近くになった客席を見回し、あることに気がつく。
お客様のほとんどが高齢者なのだ。
近隣のお店にも時々偵察に行くことがある。
その近隣のお店のお客に比べて、歓のお客様はダントツ高齢者が多い。

(そっか、これまで歓に来ることができなかったのは、病気が、コロナが怖くて来られなかったのか・・・)

少し複雑な思いにかられる。
お店の成長(高齢化)やスタッフの成長(高齢化)とともにお客様もいっしょに成長していた。
なるほど・・・・。
歓が苦しんでいる理由が、日本の成長(高齢化)にあったのか。

そして今日、私は69歳の誕生日を迎えた。