冷蔵庫

冷蔵庫の調子が悪い。
自宅に置いてある冷蔵庫のことだ。
冷えすぎて冷蔵室にあるもののほとんどが凍ってしまうのだ。
ダイヤルは高め一杯に回してあるのに。
上から冷蔵、冷凍、冷蔵(野菜置き)と三段に分かれている。
かろうじて野菜置きだけが凍らない。
冷えないよりはマシだから、そのままでもいいかとも思ったが。
子供たちが3名同居していた頃に買ったものだから15年ほど経っている。
冷蔵庫の年齢に換算すると初老といったところか。

「見るだけだよ。まだ買わないからね。」
と妻から念押しされ、夫婦で日曜日のビックカメラに行った。
子供たちが独立し、妻と二人だけの部屋。
「大きいの要らない。300cc未満・・・」
二人で見繕う。が、本日の購入予定はない。購入であれば即断するのだが。

圧倒的に若い人たちが多い。それも男女ペアだ。
たぶんこれから家庭を作る人たちだろうと、簡単に推測できる雰囲気をどのカップルも漂わせている。
こんな場所に来ちゃいけない感じで、私たち夫婦が見事に浮き上がっている。
これから家庭を作っていくのだろう二人が、大きな冷蔵庫を品定め。
(そうだろう、そうだろう!二人の胃袋だってまだまだ大きいし、これから胃袋の数(子供)も増えていくだろうから、大きい冷蔵庫、絶対必要だよね。)
その若さと対照的な立ち位置にいる私たちに、ここでも寄る年波を感じてしまう。


「見るだけ」はやがて飽きて、私はオーブンレンジやミキサーなど他の調理家電を見て回る。
熱心に冷蔵庫を見ていた妻が、私のそばに近寄ってきた。
少し怒った口調で
「ねぇ、私じゃ(高額商品を)決めきれないから、いっしょに来たのに!」
「えっ、今日買いだったの?、だったら、すぐ決めるけど・・。」
「いや、今日じゃないけど・・・・。」

冷蔵庫も私たち夫婦も「ポンコツ」と呼ばれる日は近い。