妻が手紙を持ってきて言う。
「怖い手紙来てるよ。」
手紙は「東京地方裁判所」から。
何か訴えられる・・・という心当たりはない。
開封した。
紙が三枚。その一番上には
「破産手続開始通知書」とある。
????
数行下に
破産者 株式会社○○○○
代表取締役□□□□
会社名も代表取締役の名前も、どこかでみたような・・・
思い出すまで数秒。
あ!
歓ファンが平日毎日弁当を配達しているコンビニがある。
セブンイレブンとかファミマとか違って、ビル内に設置された、ビル専用の小さなコンビニだ。
弁当個数は惣菜を含めて10個ほど。メニューは週単位で毎日変わる。
そのコンビニの会社名が今回の倒産会社名だ。コンビニの屋号でなかったためにすぐにはわからなかった。
精算は末締めの翌月末払い。
妻が月末である今日、銀行で記帳してきた通帳を確認する。
振り込まれてない。
えっ、えっ?
てぇことは、支払って貰えないのは2ヶ月分。
小さなコンビニで、個数も少ないのだが、月単位でまとめるとほぼ10万円ほど。1週間ほど前にコンビニ店長から、ビルのメンテがあるのでしばらく弁当はお休みさせてください、と伝えられていた。今月はいつもの月より受注数は少ない。だが、2ヶ月分あわせて15万円ほどにはなる。
えっ、えっ!
今日は当社の給料日と家賃の支払日だ。
今月は用意してあるが、・・・・
困る・・・どうしよう・・・
文面をあらためて見る。
債権者案内とあり、弁護士名や債券内容の確認、債権者案内状の地図も同封されている。
当社もコロナ禍が終わっても厳しい毎日が続いている。他人事とは思えない。
なるほど、倒産とはこういう手続きが始まるのか・・・。
胸がキューッと締め付けられる。
前述したが、今日は給料日。社員の給料は準備して渡すだけにしてある。
今月も無事に終わる。給料を渡して終わる。
ありがたい・・・と胸を締め付けられつつ、ホッと胸をなで下ろす。