末期ガンの弟を見舞った。
自宅で養生している。
弟はガリガリに痩せていた。
私とほぼ同じ身長で168センチくらいが、おそらく体重は40kg前後か。
骨と皮。
身体は動いていた。弱々しい体つきの割には手足を動かしていた。ただ動いている腕が何か当たった煽りでポキッと行きそうで、見ていて怖い。
「無理して食べろよ!そんな身体見たくもないぞ!」
食欲もないんだろうとわかってはいるが、叱咤するような感じで言った。
弟は小さく笑った。
言葉を返すほどの元気はないのか、食べる(生きる)ことをあきらめたのか、。
傍らに座っている奥さんの笑顔も弱々しくみえる。
元気でいる兄の私が申し訳なく思うほど弱い弟がたたずむ。
幼いときはよく兄弟喧嘩したのもこの弟だ。
4歳上の私にムキになって挑んできた弟はそこにいない。
私のお店にお客を連れてきてくれた。
連れの手前なのだろうが、
「兄ちゃん、美味しいよ。」
「何言ってんだよ、お前、飲んでるばかりで、ちょっとも食べてないじゃないか!何が美味しかったか、言ってみい。」
苦笑いしていた弟が、もう一度お店に来ることは、たぶんないのだろう。
弟よ。
よく頑張ったな。
身体痛いかも知れんけど、もう少しだけ、生きてろ。
兄のわがままだけど・・・