値上げ

食材価格が上がっている。2~3割は当たり前、中には5割近く上がるのも少なくない。ただでさえお客様数が増えないのに、非常に辛い。
いままでも利益率が低く、客離れに直結する値上げは苦慮していた。

新調理長が就任していろいろと新しい料理を提案してくれる。なかには「えっ」と思う様な料理もある。それも一つや二つじゃなく種類的にもたくさん提案する。
「やる気があるのはOK。元気なのもOK。でも急ぐな。」
と手綱をついつい引きたくなるほど、やる気を見せてくれる。

そんな調理長から提案されたなかにランチのメニューがある。
私、初代調理長の二戸、ホールで働く女性の三人は新宿三丁目にあった「胡座楼」の流れを多かれ少なかれ汲んでいた。私たちや歓ファンのスタンダードが「胡座楼」だったのだ。
コロナ禍で私が厨房で30年ぶりに働くことになったが、体力や筋力の衰えは隠すべくもなく、体力勝負の仕事ははっきり「無理!」と自覚させられる。短期的には可能でも「常時従事」するのは厳しい。時間の逆回しは不可能とあらためて思い知らされる。

で、今度の新調理長、出会ってまだ間もないが、「経営を継続するのであれば、彼に託すしかない。」と痛感する。新調理長は何かしらの欠点も持ち合わせているだろうし、彼の63歳という年齢を加味すると、「5年間勝負」と思う。
彼が「吉」と出るか「凶」と出るかは、彼と出会った私の吉凶であり、彼を選んだ私の吉凶でもある。
私の運が強いかどうか、を試される問題だ。

まずはランチ。彼から提案されたメニューでランチを改変した。
排骨飯(パイコーハン)や咖哩飯(カレーライス)まである。
ラクサ麺という、私が初めて聞いた麺類もある。
彼から提案された料理を中心にランチメニューを組み立てる。
(こりゃぁ覚えるのたいへんだぞ!)
と感じるし、スタッフに混乱も生じるだろう。

「オール1,000円」
これにしよう。
これまでヤキソバ、湯麺、週替わりランチが920円。
原価が低い、手間のかからない麻婆豆腐や担々麺が820円。
それが一律1,000円。
なかには海鮮焼きソバ1,020円、土鍋セットや炒飯セットが1,070円と千円超えのメニューもあったが、これも1,000円。値下げ品もあるのだ。
だが、全体を見ると値上げ幅は大きい。

しかしまだまだコロナ禍が尾を引く現在、値上げしようが値下げしようが関係なくお客様数は少ない。
(値上げするには今しかないかも・・・)

あと一年で70歳を迎える私の体力を考慮すると、「胡座楼」の流れを変える(断ち切る)時期が来たのかも。
値上げは、その新しい波、新しい調理長をアピールするチャンスになれるかも、と身勝手に思う。

ということでちょっぴり高い歓ファンが生まれます。
新しい料理を提案する新調理長、自信がなければ新しい料理はアピールできません。
みなさん、どうぞご期待を。