コーン春巻き

連日の猛暑日が手伝っていたのか、9月初旬までは美味しいトウモロコシがスーパーに並んでいた。
そのトウモロコシを皮ごと蒸し、蒸し上がったコーンを中華包丁で可食部分を削る。それを塩だけを加えて味を調えた鶏挽肉と混ぜる。
ネットライスペーパーという網目模様のライスペーパーがある。揚げると皮がパリパリしてなかなかの食感。このネットライスペーパーで上記の鶏肉コーンを巻く。
すごく単純な料理なのだが、なかなかの評判だった。コーンの甘さと皮のパリパリが絶妙なのだ。 つなぎとして鶏肉を選んだのは一番匂いが少ないからだ。コーンの香りと甘さを邪魔しないと考えた。

9月中旬が過ぎ猛暑が少しずつ収まってきた。同時にコーンの時期が終わった。
評判が良かったため「コーン春巻き」の継続を図った。真空パックのコーンや冷凍コーン、色々と試した。コーン以外も試した。
甘い食材が合うと思ったから 南瓜、薩摩芋などなど・・・。これらの食材は火を通すと柔らかくなりネットの網目から流れ出す。揚げた油が濁るくらいにあふれ出す。
こりゃダメだ・・・。
単純な料理で使う食材も鶏肉、コーン、ライスペーパーの三種類。それでもこれだけ悩む。

今、売上が厳しい。何とか新メニューを開発しようと躍起なのだが、コーン春巻きすら試行錯誤が続く。
厨房の仕事”半端ない!”とあらためて思う。

先日、新メニューのヒントを得るべく数人で「新橋亭」に行った。刺激も欲しかった。厨房に入っていると、お店を抜けて他の店舗を、他の料理を食べに行くというのが無理なのだ。
新メニューや料理の提供方法を考えるのだが、頭の中で懸命に考えても思いつかない。<百聞は一見にしかず>なのだ。厨房にあるためにお客様からの情報も手に入らない。

たかが「コーン春巻き」されど「コーン春巻き」。
悩ませてくれる。