紙おしぼり、長ネギ、胡麻、スリ胡麻、餃子のタレ・・・
スマホのメモ帳には前日に書き込んだ買い物リストが並ぶ。
今夜の予約は2件。人数こそ多くは無いものの、何を出してやろうと頭の中は冷蔵庫冷凍庫に残る在庫を思い出す。
いつも寄る業務用スーパーで買い物を終え、バイクはお店への帰路につく。
運転をしながらも、頭の中は今夜のメニューを組み立て、買い忘れがないかと確認する。
突然スマホの呼び出し音が鳴った。
路肩にバイクを停めスマホを見る。そこには鶴瓶さんの名前があった。
(あ、チマキの注文・・・)
配達先は赤坂で、これから持って行けとの注文。鶴瓶さんの、いつも無茶を聞いているから当たり前のように、こちらの都合を考えない無茶ぶり注文。
チマキを蒸し終え、チマキを発泡スチロールの箱に入れる。
頭の中は赤坂までのルートをおさらいしている。
いざ出発。
ん?
キュルキュルキュル・・・
走り始めて間もなく、バイクが突然失速する。えっ、何?何?
残り少ないが、ガソリンはまだ入ってる。何?何?何?
ガス欠のような症状だ。
バイクをごまかしごまかし一番近くのガソリンスタンドまで走らせる。
ガソリンは満タン。が、エンジンをキックスタートさせても、パワーが車輪の駆動まで伝わらない。
新宿から赤坂まで・・無理・・
優先順位は、まずチマキの配達だ。
ガソリンスタンド沿いの明治通りに立ち、タクシーを捕まえる。
走り始めたタクシーの中で購入したバイクの販売店に電話を入れる。バイクを取りに来ての修理を頼む。
バイク屋。バイクを積み込む車がないと言う。さらに加入している任意保険にバイクをレッカー移動してくれるサービスがあるはずだから、保険屋に連絡してくれと言う。
保険屋。事情を説明すると、スマホのショートメールにロードサービスの電話番号を送るという。
タクシーが赤坂の目的に着いた。
チマキを届けた。
「ただいまチマキをお届けしました。ありがとうございます。」
届けた後、届けた由のショートメールを鶴瓶さんに 送る。
帰りの地下鉄の駅に向かいながら、届いたショートメールの保険会社に電話する。バイクのナンバー、保険番号、私の電話、バイク屋の電話・・・。必要な情報を伝える。
経過を妻、バイク屋に伝えた。
今やれることをすべて終えて電車に乗ると、途端にどっと疲れが出てきた。
(おい、これから予約の仕込みが残ってるぞ。疲れるのはまだ早いぞ。)
気持ちを奮い立たせる言葉を自身にかけるが、・・・・疲れた。ただただ疲れた。
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