とめられない!とまらない!

平成29年2月10日(金) 退院当日 朝7時45分
執刀医の先生が病床にやってきた。
(早い。でも、もうはずれるの?)
尿道口に繋がる直径1センチはあるかと思えるゴム管のことだ。
手術当日からずーっと差し込みっぱなしだった。
手術日当初は、ほぼ血液と同程度の真っ赤な尿が透明な管を流れ出てくる。
日を追うごとに赤い色は薄まり、2日ほど前からはほぼ尿の黄色か透明色になっていた。
それが間もなく外れるのだ。
尿道内にズーンと地響きのような軽い振動が・・・・
「終わりましたよ」
1分も経たなかった。
「尿がお構いなく漏れ出してくるので、そこだけ注意してください」
「午後から退院手続きになります」
 

退院準備の前に、ゴム管のせいでなかなか着替えられなかった下着を交換。尿道口や、まだふさがりきってないお腹の縫合後から出てくる血痕に汚れた下着やガーゼを取り替える。
 

と、その瞬間、予期しない状態で、下着から足を抜いたその時、おしっこがチラチラチラと流れてくる・・・。
(えっ?あっ?・・これっ、尿漏れって?)
今脱いだばかりの下着を手のひらに、漏れ出る尿を受け止める。
クシャミをしたりお腹に力を入れた拍子に出てくる尿漏れを想像していた。
おしっこする感覚も、現在進行で、している感覚も無いのだ。
どこからともなく出てくる感覚なのだ。
出てくるところが、あらためてみて尿道からだと確認できる。
チラチラチラ・・・・・
 
止められない!止まらない!
 
ベッド上ではなく、ベッド脇に立っての出来事だ。
床上にポタポタ。
流れ出てくる尿を受け止める、掌上の下着(タンク)は容量が満タンになってきた。
(えっ、あっ、どうしよう?)
流れっぱなしだから、動くに動けない。とりあえず手の届く範囲にあったタオルをあてがう。

尿漏れが気になり、一階売店で尿漏れパッドを買う。2枚組150円ほどの品。
この無感覚での尿漏れは個人差はあれ2週間ほど続くという。
早く正常な状態に戻れ!さあリハビリだ!
先生に聞くと、肛門周りの括約筋を鍛えるんだとか。
どうやって?

退院

2月8日水曜日
前立腺ガン摘除手術(2月2日)の経過を示す膀胱造影検査を本日いたしました。お腹の傷口はまだまだ痛むものの結果良好でした。
午後4時
主治医が入院棟、私のベッドに来て宣告していただきました。
「おちんちんの先についている管はギリギリ(退院当日)までつけてください。」
「管は10日(退院予定日)午後に外します。」
「その時いっしょにお腹をふさいでいるホッチキスの針も外します。」
「外れたら退院です。」
 
ジャーン、ジャジャジャジャーン!
まだホッチキスの針がお腹縦一文字に並んでいます。痛みもします。歩くごとに、身体と繋がっているゴム管が、越中褌(T字帯)に包まれた男性自身に、決して心地よくない刺激を与えてくれます。
ですが、半月ほどの入院生活も後二日。今しばしの辛抱!
 
主治医からは
「退院した日から、お酒も大丈夫ですからね」
という温かいお言葉。ただ
「自転車は1ヶ月ほど乗らないでください。」
(え?え?え?自転車って、サドルと接触する部分(股の間)も切ったっけ?)
「前立腺の位置がサドルに当たる部分から1センチほどの所にあるんです。」
「そこを切っているので、用心して欲しいのです。」

・入院中ずーっと尿道入口からゴム管を突っ込まれたまま縮こまっていた男性自身、尿道とゴム管の境目についた血痕を揉むように洗ってくれた看護婦さん、ありがとう。
 
・寝たままの私に
「腰を浮かしてください」
と言って、傷口の広がりを防ぐ腰帯を巻いてくれた看護婦さん。
(赤ちゃんプレイってこんなものか・・・)
と、全く反応しない我が身に情けなさを感じつつ、看護婦さん、ありがとう。
 
・狭いトイレの中、点滴棒(点滴液をぶら下げている2mほどの棒)と一緒に籠もり、ガウンをはだけ、T字帯を取り、さあ便座に座ろうとすると、ガウンとT字帯の裾が便器の中の水に浸っています。
(アチャー!)
用を足す前の水でけっして汚くはないのでしょうが、それを嫌な顔一つせず交換し
「今度は大きな多目的トイレを使いましょうね」
と、優しく諭してくれた看護婦さん、ありがとう。

ということで、元気な梅ちゃんは間もなく復活です。

あけましておめでとうございます。

あっという間に1月半ば。
ご挨拶が遅れに遅れました。
あらためましておめでとうございます。
今年もどうぞよろしくお引き立てお願い申し上げます。
 
さてさて今年はどういう艱難辛苦が待ち構えているのやら。
まだ私が耐えられると思って、艱難を与えてくださるんでしょうね。
ありがたやありがたや。
でもね、たぶん、今年はいい年ですよ。
何の根拠もありませんがね、たぶん昨年が底でしたね。
もう後は上に上がるだけ。
くどいようですが、何の根拠もありません。 
 
それが証拠に、今年は長男坊に男児が授かります。あまり関係ないですね。
新年度の目標です。

1、今年は昨年以上にチマキをブレイクさせようと考えています。
ネーミングが出来ました。
「招福チマキ」もしくは「笑福チマキ」です。
良い名前でしょう!
深慮遠謀があります。
お祝い事に使っていただけるんじゃないかと思っています。
「笑福」は、チマキのお得意先である鶴瓶師匠のお許しが必要でしょうが、招く福はすぐにでも使えそうです。どちらにしても鶴瓶師匠にはお伺いしようと考えています。
そのうえで・・・・
夢は尽きませんが、まずは今年はチマキのブランディングから始まります。
年末には良いご報告が出来ますよう、頑張ってみます。結果をお楽しみに。

2、新宿区がこの医大通り商店会に助け船を出そうとしています。この医大通りだけではないのですが、大学と連携できる商店会がテーマで、地域活性化のモデルになりそうです。
正直この医大との橋渡しは私がやってきました。ある形で実を結びそうです。

3、まだ秘密裏ですが、密かに進行中の計画があります。うまくいくと収益の柱が別途誕生します。

流れがこちらに向かってきているのを感じています。
何の根拠もないと言いましたが、流れを感じているのが根拠です。

皆様もいい年でありますよう。そして時々私の方の経過報告を聞きに歓[fun]に来てください。
皆様の顔を見るのが何よりの元気づけになります。
今年もよろしくお願い申し上げます。

平成29年正月

歓[fun]店主 梅橋嘉博

1円を大事にする者は・・・・

ポケットからハンカチを出そうとしたら、そのハンカチに紛れ込んでいた一円玉がコロコロと床に落ち転がっていく。
あらら・・
レジとロッカーにはさまれた狭い空間、狭いがために立ち腰でその一円玉を拾う。

胸ポケットに差し込んでいたスマホがスルリ。
ガシャ・・・
(えっ、やな音・・)
一円玉と一緒に拾い上げたスマホ。画面左上にガラスの亀裂が!

スマホには、遠藤憲一さんや我妻と一緒に映った写真をスマホサイズに切り抜き、ご丁寧にもカメラレンズの部分もそれに合わせて切り抜き、さらに半透明のゴム質ラバーで覆っていた。
それで大丈夫だったはずだ。今日以上に高いところから落としたことも何回もある。一度も問題が起こったことがなかった。
今日はよっぽど落としどころが悪かったのか!

ああぁ、今日、おれの誕生日だぜ。これがプレゼントかよ。
1円を救おうとして、修理に出せば1万円くらいするガラス交換がプレゼントかい!
計算が合わない!

エレベーターと階段

我が輩の部屋は6階にある。
エレベーターの回数を表す数値は9まである。9階建てマンションだ。
 
私は新宿店を、部長(妻)は後楽園店をそれぞれ守っている。
ただ両店舗のラストオーダー時間は違う。
新宿店は10時半。後楽園店は11時だ。
部長はラストオーダーから退店する12時までの1時間、「自分の時間」と称して、経理事務の溜まった分を消化していく。
酒好きの部長は、手元にサーバーを清掃した際に残る生ビールや紹興酒がある。
酒を片手にチビチビとやりながら仕事をこなしていく(らしい・・)。

部長の帰宅はいつも丸ノ内線最終だ。
彼女の休日前は、待ち合わせてマンション近くの居酒屋で飲む場合が時々ある。
二人ともほろ酔い気分で帰着する。
帰着時間はだいたい深夜の1時~1時半頃。
坂の途中にあるマンション入り口は地下1階。普段は6階までエレベーターだ。

明日公休日の部長と、今日も二人でほろ酔い気分で帰着する。
マンションに到着。
いつものように地下1階のエレベーターに向かおうとする妻に声をかける。、
「おい、階段で行こうぜ」
「なんで?」
「最近太り気味だって言ってじゃないか」
「やだよ」
とエレベーターのボタンを妻は押す。
「わかった。俺は階段登る。」

我が輩の部屋は6階にある。
1階。
昇降ボタンを押す。
エレベーター脇の階段を二段飛びで登る。
2階。
昇降ボタンを押す。
3階。
昇降ボタンを押す。
4階。
昇降ボタンを押す。
5階。
昇降ボタンを押す。
ハー、ハー、ハー。
息が切れる。
6階のエレベーター前で、妻を待つ。

やがてドアが開き、妻が降りてくる。
「おかしいのよ。毎階ドアが開くの。でも乗る人が誰もいないの」
「深夜のマンションで、ドアが開いて、暗い廊下で、待ってても誰も乗る人が来なくて・・・・」
そこで初めて息切れをしている私に妻が気づく。
「あははは!ずーっとボタンを押しながら上がってきたんだ!」

我が輩の部屋は6階にある。

 

 

お得意様

朝方9時電話が鳴る。
「はい、歓[fun]でございます」
「チマキをお願いしたいのですが・・・」
阿部寛のマネージャーのお一人からだった。
「いつでしょう?」
「今日のお昼なんですが・・・」
「えっ、今日!」
「やっぱり難しいですよね」
場所と時間と個数を聞く。
11時着、両国の劇場に40個だった。
厨房はまだ誰も来ていない。
冷凍庫の在庫を確かめる。
可能だ。
「お待たせしてスミマセン。大丈夫だろうと思いますが、在庫を管理している厨房に聞いてみないと確約をしかねます。あと30分ほど待っていただけますか?」
そうして
「両国まで新宿から30分見ていますが、こちらのランチ営業が11時からです。営業に間に合わせるためには両国着を10時20分(30分早める)ほどにしたいのですが、それは大丈夫ですか」
「かまいません」
「返事は後ほどします。しばらくお待ちください。」
スチームコンベクション(蒸籠)のスイッチを入れながら、調理長に電話を入れる。
昨夜の内に余分な在庫として発注してあるから「大丈夫!」との確認が取れた。
阿部さんの事務所にOKの電話を入れた。
「50個にするのは可能ですか?」
すでにチマキをスチームコンベクションに入れて10分が過ぎている。
「いやぁ、ちょっと・・・」
電話で話ながらも、ホールの掃除をこなす。
「わかりました。40個でお願いします。」

やがて厨房が出勤してくる。そしてチマキが仕上がり発泡スチロールに詰め込む。
この時点で10時5分前。
のし紙「楽屋お見舞い・二反田雅澄さまへ・阿部寛」をプリントアウト。
折しもスコールのような豪雨。
カッパを羽織り、バイクにチマキを詰め込む。

雨の一番ひどい時の配達だった。
ワイパーを回しっぱなしでも前が見えにくい。
バイクはどうしても道路の左寄りを走るのだが、左寄りには水溜まりも多い。
豪雨も手伝い、その水たまりが見えない。
急ブレーキがかかる如く、身体が前につんのめる。
水しぶきを左右に分けてバイクは進む。
新宿から両国まで靖国通り1本なのだが、カッパを通しても雨水が浸みてくる。
ランチに間に合わせるためには、この程度は何のその!
ほぼ25分で両国2丁目到着。お目当ての両国シアターX(カイ)だ。

阿部寛さんと鶴瓶さんは、定期的に、それも大量にチマキの注文を入れて貰える。
この程度の雨や、この程度の無理は何とかする。
だから無理とわかってはいても、
「今日の今日なんですが、チマキ配達できますかね・・・」
とくる。
お得意様っていうのは、こういう無理を言えるし、無理に応えることも全力を尽くす。
ありがとうございます。
でも無理はあまり頻繁にしないでくださいな。気持ちはOKでも、物理的に無理な場合が多々あります。

検査入院4(病院食)

 

9日間の検査入院とあいなって、今日で5日目中日。
一般的にこの検査入院は1泊2日のプログラムだ。私が糖尿を煩い、それにともなうカテーテル手術があったため毎日の服用薬に血液サラサラ薬「コンプラビン」がある。この効果をなくすために1週間追加の合計9日間の入院と相成った。コンプラビンを止める替わりに「ヘパリン」なる点滴薬を1週間身体に投入する。
 
入院中は常に点滴薬を備えたつけたポールを引っ張っていくことになる。トイレも売店に行く時も同階にあるロビーに行く時も。
結果外出が不可能。運動も現実出来ない。寝るしかないのだ。
入院している病院も、勤務先や自宅のある新宿からは少々遠い。20年以上昔からおつきあいしている主治医の勤務する病院だからなのだが。
 
合計9日間の入院生活を余儀なくさせらているが、当然毎日食事が出る。朝昼晩。提供時間はそれぞれ8時、12時、18時。
メニュー。
炭水化物が実に多い。ご飯、パスタ、パンといった主食はともかく、甘さの加わったヨーグルト、フルーツ、芋やジャガイモ。
普段糖質制限を心がけている手前としては、全部を食べられない。食べなかった。しかし当然それだけでは足りない。売店に足が向く。
この売店。ここも炭水化物の宝庫だ。デイリーヤマザキが管理している売店のようで、当然ながら菓子パン、普通に弁当やインスタントラーメンなどなど。炭水化物以外のものを探す・・・・・・ない!ない!ない!
かろうじて見つけたのがロッテの砂糖ゼロ糖類ゼロのチョコレートだけ。極めつけはレジ横にある、ケーキとアイスクリームのショーケース。
糖尿病患者がここに来ると、一時的にも数値は悪くなるのではと心配になってくる。
 
病院食は毎回毎回いろいろと工夫をされているようだ。私が思いっきり残すと、
「不味かったですか?」
と心配そうな顔でのぞき込んでくる。
残すのはたいていお昼ご飯。だって8時に朝食が出て12時まで何もやることなくて寝ているだけでお腹が空くわけがない。実際このブログを綴っている13時過ぎにあってもお腹はパンパンしている。
まじで(入院して太るんじゃないのか?)と心配になってくる。
 
今回の入院を知っている知人には
「検査入院だから見舞いには来るな!」
と念を押している。
これまで見舞いに来たのは、長男夫婦、次男夫婦と孫、そして家内が2回。
家族たちには、見舞い品は
「肉だ。肉を持ってこい。タンパク質が欲しい!」
品物も指定した。セブンイレブンの「揚げ鶏、唐揚げ棒」、ファミマの「スパイシーチキン、チーズチキン、つくね」
 
前述したように点滴のポールを持っていると外出が出来ないのだ。運動も出来ないのだ。自分で買い出しが出来ない。出される食事は炭水化物多々。売店は炭水化物の展示場。入院は9日間と長丁場。手術するのは退院予定の1日前。それまでは至って健康な状態なのに、炭水化物漬けで運動無しという、フォアグラを作るためのアヒル状態になっている。
 
病院は悪くない。栄養士も指示に従って作っているだけだ。病院食の1食あたりの予算は300円~350円。この予算では炭水化物中心にならざるを得ない。この予算の中でいろいろと工夫されているのは、出される食事を見ればわかる。
あらためて厚労省の推奨する栄養バランスを見直して欲しいと思う。タンパク質20%、脂質20%,炭水化物60%を、せめてオール3割ずつにして欲しいと思う。
医療費の削減を叫ぶくらいだったら、まずこの栄養バランスを見直して欲しい。これがないと病院食は変わらない。一時的に入院の際の食費(病院の経費)はかさむかも知れないが
 
膨満感たっぷりの胃袋に、開いた口に次々と餌を突っ込まれるアヒルの悲哀がわかりかけてきた。

検査入院3(ピーピッピッ)

午前十時頃。
窓の外からピーピッピッと笛の音が聞こえてきた。
(えっ!この笛のリズムは、もしかしたら祭りの・・・?)
昨日入院したのだが、たった一日で曜日の感覚がなくなっている。
確か今日は日曜日だ。
祭り!あり得る!

祭り好きの血がとたんに騒ぐ。
当たり前だ。こんなに元気なのに寝てなきゃならないなんて!
腕から伸びる「点滴の管」が憎らしい!

看護婦が来て、のんびりとした口調で
「お祭りのようですね。」
言下に
「違う!この時間帯だから子供神輿です。」
「大人の、本物は午後から出ます。」
入院する病院の近所には、神酒所を二カ所ほど確認していた。
お祭りが今日だとは知らなかったが、日曜日とあればそれも納得。

わー、行きたい、担ぎたーい・・・・
ソワソワする私を冷ややかな目の看護婦さん。
病院の方たちはどなたか参加しないんですか?
ますます冷ややかな目で私を見る。

「ほら」と点滴の下げている

 

検査入院2 (チマキ注文の巻き)

入院初日は病院のいろいろな部署から挨拶にやってくる。
薬の説明をされる方がやってきた。薬剤師だ。
現在服用している薬の中でストップする薬、その説明などなど。以前に聞いていたことをさほど変わらず。
「ふむふむ、あー、そうですか」
相づちとともに聞き流す。その最中にサイドテーブルがブルルと振動した。
携帯の呼び出しだ。ディスプレイを覗くと「音無美紀子」さんの表示。

一瞬でチマキ配達の注文と知れる。
説明を続ける薬剤師の方を手で制し、画面を見せながら、電話に出ますと伝える。たぶん
(なんてわがままな患者だ。ベッドで電話は禁止だろ、常識的に!)
と思われたかどうか、一礼の後カーテンの向こうに去って行かれた。

「はい、こんにちは」
「今日の明日で申し訳ないんですけど、明日チマキ配達できますか?」
素直に入院という言葉が出て来ない。それを察したか
「無理ですよねぇ。」
仕方ない。
「音無さん、実を言うと今日から入院なんです。」
「えっ?」
「点滴を引っ張って、行けないことはないんですが」
「チマキ揃えるのも・・・」
「検査入院ですか?」
「そうです。14日には退院です。その後でしたら・・・・」
「わかりました。お大事にしください。点滴引っ張る必要ありませんから。」

そりゃそうだ。そんなことするのは”志村けん”や”加藤茶”の世界だ。
入院初日から、波乱の予測。退屈はしのげそうだわい。

検査入院1

前立腺に少し異常があると言うことで、入院が決まった。
検査入院だ。手術の翌日には退院ということで、比較的軽い手術、あるいは軽い症状と言うことらしい。
ただし現在服用している薬の効果が手術には邪魔らしく、その効果が消える1週間は点滴が不可欠と言うことで9日間の入院になってしまった。
(こりゃ、たいへんだぞ。すこぶる元気状態で入院したら、時間つぶしと体力維持が。)

そして本日入院。
お店のお客様には「夏期休暇」
検査入院ぐらいで公言できるか、というのが本音です。
さあ、どうやったら入院生活が退屈しないか、ということで入院生活を綴ってみようかな。
そういうなか早速点滴のチューブをつけに、看護婦さんがやってきた。

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看護婦が点滴の針を刺そうとする。しきりに二の腕の表をさすり、血管の浮き出ている部分を捜している。
ん?
ん?
見つからない。
手伝うつもりで私も腕に力を入れる。親指を中に入れた拳に力を入れる。
それでも
ん?
ん?
「針、入れちゃえば」
「大丈夫大丈夫。痛いのを数回我慢すればいいんでしょ。」
「平気平気、ブスッと突き刺して」
とこちらが看護婦さんをあおる。
けっこう年季の入った看護婦さんに見える。それでもプレッシャーを感じたようで、突き刺した針から血が出てこない。
正直(痛い・・・)
ぐっとここは我慢。看護婦さんを育てるつもりで。
看護婦さん、懸命に針の先をグリグリしながら血管を探している。
看護婦さんの懸命さがわかるだけに、グッとこちらも堪える・・・が、
グリグリの度に
「うっ、うう、」
とうめき声を止められない。
看護婦さん、申し訳なさそうに
「スミマセン、スミマセン」
結果的に交換した針は3本。
「腕が筋肉質で・・・なかなか針が血管に届かなくて・・・」
「ドンマイ、ドンマイ」
でも、ちょっとだけ、心の中で
(ヘタ!)